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苔玉の作り方・育て方の基本について

今回は、苔テラリウム専門サイトということであまり触れてこなかった【苔玉】のお話です。

コケを専門に扱っていると、日々いろいろな質問が寄せられます。なかでも、「苔玉が茶色くなってしまった」「苔玉が上手く育たない」「苔玉の作り方が知りたい」など、苔玉についての質問も多いです。

そこで、今回は、苔玉の作り方苔玉の育て方のポイントについて解説していきます。

苔玉とは?

苔玉

一般的に言われる苔玉(こけだま)とは、草木の根を土で包み、土のまわりにコケを巻きつけたもの。盆栽の楽しみ方の一つだと考えればよいでしょう。

じつはそれほど歴史が古いものではなく、平成になってから流行した比較的新しい楽しみ方です。

苔玉の原型は『根洗い』

盆栽の鑑賞方法の中に、『根洗い』という楽しみ方があります。

草もの盆栽を数年育てたのちに、盆栽鉢から取り出して、根鉢の状態でお皿などにおいて鑑賞する方法です。この根洗いを飾るときに、根のまわりにコケをあしらうこともあったそうです。

ただ、この根洗いの状態にするには、時間をかけて根鉢が崩れない状態にまで盆栽を育てなければなりません。そこで、この『根洗い』を簡易的に作ったものが苔玉であると言われています。

(苔玉の起源や元祖については諸説あり、どれが本当なのか…もはやわからないので多くを触れないでおきます)

苔玉という呼び方の他に、草玉という呼び方で広めている盆栽家さんもいらっしゃいます。

道草流!苔玉の作り方

これまで苔玉をつくるときには、ケト土など粘土質の土が多く使われてきました。

ケト土は粘土状なので丸いかたちを成形しやすいのですが、通気性・通水性がよくないため、コケや植物がうまく育たないという難点がありました。

今回ご紹介するのは、赤玉土だけを使って苔玉を作る方法です。さらに、樹木や草花は使わず、まずは基本の『コケだけの苔玉』を作ってみましょう。

苔玉の芯をつくる

用意するもの

・赤玉土
・排水口ネット(ストッキングなどでも可)

中粒の赤玉土をネットに入れて、苔玉の芯をつくります。

コケが成長するとふんわりと大きくなるので、作りたい苔玉より一回り小さい芯をつくるようにしましょう。

水に入れてゆすぎ、細かい微塵の土を落とします。排水性を良くするポイントなので、何度か水を替えてしっかり微塵を洗い流しましょう。

コケを巻き付ける

コケを用意したら、先ほどの芯にコケをかぶせるようにして覆い、木綿糸を巻きつけて固定します。

方向を変えながら20回ほど、ぐるぐると糸を巻き付けましょう。

コケの裏に土や茶色い部分がある場合は、ハサミでカットしてから使います。緑色の部分だけにした方がコケの仮根が出やすく、定着しやすいです。

今回は、シノブゴケ・ハイゴケ・コツボゴケ・ツルチョウチンゴケ・オオバチョウチンゴケを使って、それぞれ苔玉をつくりました。

丈夫で使いやすいのはハイゴケですが、這うように伸びるコケなら同じように使うことができます。

反対に、ホソバオキナゴケやアラハシラガゴケのような「こんもり育つ」タイプのコケはあまり向いていません。

最後に水でゆすいで、ゴミを落とします。しっかり吸水させましょう。

苔玉におすすめのコケはこの記事を参考にしてください。

苔玉を置くお皿について

苔玉のお皿

穴のあいた浅い盆栽鉢に、富士砂や麦飯石など多孔質の砂利を敷き、その上に苔玉を置きます。

苔玉お皿に置く

余分な水は穴から流れ落ち、砂利が適度な水分を保持してくれます。

プラスチックの受け皿も、穴をあければ代用可能です。

大切なのは、穴があり、水がたまらないこと。

ここまでできたら、屋外の半日陰の場所に置いて育てましょう。数か月経つとコケが育ち、ふんわりとした苔玉が完成します。

作ったばかりのコツボゴケの苔玉(右)と、数か月後の同じ苔玉(左)。芯の大きさは同じですが、ここまで大きく育ちます。

苔玉に樹木を植えたい場合

樹木や草花を植える苔玉も、排水口ネットを使ったこの方法で、同じように作ることができます。

詳しくは著書『初めての苔インテリア』で解説しています。

苔玉を作るのに最適な季節は?

ツルチョウチンゴケの苔玉

苔玉作りは春(3~4月)ソメイヨシノが咲くころがベストです。温度・湿度が高くなり始める春から初夏は、もっともコケが生長する季節。

夏前にしっかりコケが生長していると、乾きに強くなります。もちろん、それ以外の季節につくることもできますが、夏の暑さを乗り越える丈夫な苔玉にするためには、春につくるのがおすすめです。

苔玉の育て方|3つのポイント

ポイント① 屋外で育てよう

苔玉置き場所

苔玉は屋外の庭やベランダの明るい日陰で育てます。朝9時くらいまでに日があたり、日中日陰になる場所が最適です。

苔玉は室内ではうまく育ちません

苔玉室内に飾る

室内の環境は乾きやすく、コケに必要な明かりも不足しがちです。室内に飾る場合は2-3日間にして、基本は外に置くようにします。

苔玉比較
左はベランダで育てた苔玉・右は室内で育てた苔玉

苔玉を室内で育てたいときは苔玉テラリウムがおすすめ

苔玉テラリウム

室内で育てたい場合は、テラリウムで育てる苔玉がおすすめ。テラリウムで育てる苔玉は、今回紹介した苔玉とは別物です。

適したコケも変わってきますので、こちらの記事を参考にしてください。

ポイント② 水やりはジョウロでたっぷり&ソーキング

ジョウロで水やり

コケの表面が乾いてきたら、ジョウロを使って苔玉の中に水がしみこむまで、たっぷりと水をかけます。新鮮な水が苔玉内部の土までしみこむことが重要。

霧吹きだけの水やりでは、苔玉の表面しか湿らず、水不足になってしまいます。

真夏の水やりは涼しい時間に

夏の苔玉

真夏の暑い時間帯に水をかけると、苔玉に含まれた水がお湯になり、ゆだってしまいます。

日中は少々乾いても問題ありませんので、夜か早朝の涼しい時間帯に水を与えてください。

月に一度はしっかり水に浸ける「ソーキング」を

苔玉水やり

毎日の水やり以外に、月に一度はバケツにためた水に浸けこむ「ソーキング」でしっかり水を吸わせましょう。

うっかり乾燥させてしまったときも、バケツにためた水に30分間くらい沈めて、ゆっくり水を吸い込ませるようにしてください。

ポイント③ お皿に水を溜めない

水やりすぎ

普段苔玉をお皿においておく場合には、お皿に水を溜めないように気をつけましょう。

お皿に溜まった水が温められ、コケが蒸れて傷む原因になります。先に解説した、穴の開いた受け皿を使うことをおすすめします。

苔玉のコケが茶色くなってしまう原因は?

茶色くなった苔玉

苔玉を育てていると、苔玉のコケだけが茶色く枯れてしまうことがあります。

コケが茶色くなってしまう主な原因は「置き場所」と「水やり」。

苔玉が茶色くなってしまう原因と対策については、下記の記事に詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。

苔玉の作り方・育て方まとめ

苔玉

●苔玉は屋外の半日陰で育てます。室内で育てるのは難しい。

●水やりは中の土までしみこむように。

●お皿に水をためておくのはNG。

苔玉は雑貨感覚で売られているので、手軽なものと思いがち。元気に育てるにはコツが必要ですが、ポイントを押さえれば、小さなベランダでもしっかりと育つ苔玉が作れます。

いきいきと緑色の葉を茂らせる苔玉はとても可愛らしいもの。一度失敗してしまった人も、是非この方法で再チャレンジしてみてくださいね。

 

今回紹介した苔玉の作り方は、動画で詳しく解説しています。

 


苔テラリウムの育て方疑問・質問はこちらを参考にしてください。

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