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コケと藻の違いはなに?藻類と植物について考える

苔の仕事をしていると、「コケと藻の違いはなんですか?」「これはコケですか?藻ですか?」などの相談を受けることがあります。

コケと藻…。確かに似ているものもあるし、混同されがちです。何が違うの?と言われるとハッキリ答えられないこともあったので、今回しっかりと調べてみることにしました。

コケと藻の違いは何なのか?

「藻」はそもそも何者なのか?

みなさんの疑問をスッキリ解消できるように、解説していきましょう。

そもそも「藻類」とは

陸上植物以外で、光合成をするものの総称

生物の分類学上で見ると「藻類(ソウルイ)」はかなり広いジャンル。その定義を見てみると、

藻類:陸上植物以外で、光合成をするものの総称

とされています。

アオミドロ、クロレラ、ミカヅキモなど顕微鏡を使って見るようなごく小さいものもあれば、昆布やワカメなどの海藻も藻類に含まれます。

光合成をするんだから植物なのでは?と思いがちですが

種子植物・シダ植物・コケ植物のみが植物。藻類は植物には含めない

のが最近の見解なのだそうです。

藻類の一部が進化して、コケやシダになった

「藻類」は非常に広い範囲の生物を含むジャンルで、遺伝的に遠いものも多々含まれています。

そんな藻類の中で「緑藻類」というグループがあり、これは陸上植物の先祖であると考えられています。つまり、緑藻類の一部が陸上にあがり、コケやシダになったということですね。

緑藻類が進化したものがコケだと考えれば、コケと藻がなんだか似ているのも頷けます。

コケと藻の違いは?

具体的に、コケと藻の違いは何なのでしょうか。いくつか例をあげてみましょう。

コケは陸上、藻は水中(どちらも例外あり)

一般に、コケ植物は陸上で生活しているものが多いですよね。反対に、藻類は水中にいるものが多いです。

北海道土産で有名なマリモも、藻です。水中にいますね。

しかし厄介なことに、どちらも例外はあります。

例えばクロカワゴケはコケですが、常に水中で生活しているコケ。また藻類では、陸上の岩や樹皮に付くタイプの「気生藻」という種類があります。

ただ、それらは例外的で、コケ植物は陸上で生活しているものが圧倒的に多いので、見分けるヒントにはなるでしょう。

 

コケは植物。藻は植物ではない(とされる)

先ほども紹介したとおり、コケは植物ですが、藻は植物ではないとされています。

 

コケと藻、なぜ紛らわしいのか?

①アクアリウムの人たちが言う「コケ」は藻のこと

コケと藻が混同される最大の要因はこれ!

水槽で水草や魚を楽しむアクアリストの人は、水槽の壁などに付く緑の汚れのことを「コケ」って言いますよね。

アクアリウムコーナーに行くと、「コケ取り」「コケ掃除」グッズもたくさん。

でもあれはコケ植物ではありません。種類はわからないけど、あれは「藻類」。

コケと藻が紛らわしい最大の要因はこれなんじゃないかなーと、個人的には思っています。

 

②「藻」と名前につくのに種子植物のものもいる

紛らわしいついでにもうひとつ紹介しておくと、水中で生活している「種子植物」もいます。

いわゆる水草や、ハスや睡蓮など水の中で生活する植物たちです。いったん陸上に進化した植物の中には、やっぱり水中がいいや、となったグループもいるわけです。哺乳類だけど水中で生活するイルカやクジラみたいなものなのかもしれません。

そんな植物の中には「〇〇モ」という名前がついているものも多く、混乱に拍車をかけています。金魚藻と呼ばれるマツモや、ムジナモなどですね。

彼らは水中で暮らしているけれど、ちゃんと花を咲かせて種をつける「種子植物」なのです。

 

テラリウムの中に生えてくる「藻」はどうやって見分ける?

苔テラリウムを長く育てていると、藻が発生することもあります。

コケとどこが違うか?と言われれば、一個体のサイズ感でしょうか。コケは一個体の形がはっきりわかるのに対して、藻はもっと小さなものが集まってモヤモヤしている感じ。

コケの原糸体
(コケの原糸体)

ただ、コケの原糸体(胞子から最初に発生するもの)は緑のモヤっとした形をしているものも。緑色のモヤモヤしたものがテラリウムの中に見えたときに、これは藻なのか?コケの原糸体なのか?と言われたら見分けは難しいかもしれません。

「コケと藻、何が違うの?」まとめ

それではまとめです。

・「藻類(ソウルイ)」は、光合成をする生物のうち「植物」を除いたものの総称

・藻類の一部である「緑色藻類」が進化して、陸上植物になった

・「藻類(ソウルイ)」は非常に広い分類のため、進化的に異なるものも含まれている

・コケは主に陸上で生活、藻は主に水中で生活している(例外あり)

・コケは植物、藻は植物ではないとされる

・コケも藻も、光合成はする(藻類の中には葉緑素を使わないものもある)

・アクアリウム業界で「コケ」と言っているのは、だいたい藻のこと

以上、「コケと藻は何が違うの?」に対する答えと、なぜ紛らわしく感じるのかを紐解いて解説してみました。

苔テラリウムの中にも「藻」が発生したり、共生していることもあります。テラリウムの中に藻を見つけたら、コケとの違いについて思いをはせてみてくださいね。

 

参考記事

https://modia.chitose-bio.com/articles/what_are_algae/

https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2768

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